信仰がなくては、悪意に勝つことは出来ない

アイドルと音楽と演劇が好きな人の闇鍋ブログ

夏休みなので言の葉の庭を見直した話

ちょっと色々あって妹の課題のゴーストライターをするべく(言っちゃった)、言の葉の庭を見返しました。

多分初見は中学2年生?3年生?のときで、見た理由は誰かがいいって言ってたからとかそんなもんだったと思うんだけど。
当時は映画たくさん見てた訳でもないし、こんな細かく見てた訳でもないから、なんかよくわかんないけど良かった…めっちゃ泣いた…映像綺麗だった…好き…くらいだったと思うんだけど、高校2年生になった今見ると見え方が全然違うし、単純にちゃんと映画を見れるようになったから気づく部分も多くてめちゃくちゃ面白かった。で、死ぬほど泣いた。ので、ブログ書きまーす。

妹の作文は1200字以内って制約があったからコンパクトにまとめたんだけどはてブにするとダラダラ書いてしまいそう。だって1200字じゃ書きたいこと全然書ききれなかったんだもん…。まぁそれもご愛嬌ってことで。


・孤悲のものがたり

作文では『この映画は、主人公の孝雄が雨の日に名前も知らない女性と出会い、恋に落ち葛藤することで、少し大人になる話だなと思いました。』って書いたんですけど(結局削除してしまったのでそのまま引用)、そんなこと1mmも思ってないです(真顔)

恋する男女は美しい!!みたいな作品だった!!

天気の子の感想でボーイミーツガールだったみたいなものを見たので新海監督はそういう話が好きなのかな?と思ったんですけどどうなんだろう。

これは公式サイト行って震えたんですけど、この作品のキャッチコピーが

愛よりも昔、孤悲のものがたり。

なんですよね。孤悲が恋の語源になった言葉って話は出てきたんだけど、孤悲自体の意味が上手く調べても出てこなかったので類推でしかありませんが。恋は孤独で悲しいもの、って話なんだろうなぁ。(そのまま)
愛は通じ合うもの、恋は思い焦がれるものみたいなイメージがあり、思い焦がれることは決してずっと幸せって訳じゃなく時に孤悲であるだろうなぁと思うし、なんなら悲しい時間の方が多いのかもしれない。少なくとも、言の葉の庭のふたりはそうだったように感じました。
あと孤悲って昔、それこそ貴族とかそんな時代は自分の本当の想い人とあんまり会えなかったからもあるのかなぁと思ったりもしました。なんて言ったらいいの、通い婚?基本的に夜しか会えないしそもそも会えるかもわからん、みたいな。なんか占いによって会えない日があったみたいな話を聞いた気がして、それがすごく天気任せの言の葉の庭のふたりと重なったというか。ぽいなぁって思いました。


・心理描写と天候

普通天気って小説でもアニメでもドラマでも主人公の心理描写と対応してることが多いじゃないですか。楽しいことしてる時は大体晴れだし、失恋したら雨だし、30分後くらいにオタクのメンタルが死ぬ時は曇りだし、お母さんが怒ってる時は雷だし。
だけど、言の葉の庭は雨だと会えるから途中から心理描写と天気が対応しなくなってくるというか、逆転してくるんですよね。
それこそ晴れが続いてイライラしてくるシーンとかがあって。孝雄くんと会ううちにビールからコーヒーになってお茶になってた飲み物がビールに戻ってたり、ファンデーション落として割ってたり。飲み物に水滴は着くし蝉は鳴いてるし陽炎が立ち上ってるのに。
ラストシーンなんて明るい光が差し込んでてめちゃくちゃ綺麗なんだけど、静かに雨が降ってるんですよね。それが独特の世界観を作っているなぁと思ったりしました。


・母親の存在と女性像

男兄弟の家庭で母親ってきっと『女性』の基準になるような存在なのでは?と思っていて。というのも、私が女姉妹の家庭なので父親=男性像みたいなイメージがどうしてもあるので。ちょっとガタイが良くて色黒で髪の毛短いと、あぁこの人も関西弁で怒鳴るのかなぁ、関わらないでおこ…と思ってしまいがち。
彼の母親の描写ってかなり少ないけど、彼がやたら料理がうまかったり、母親が家出したと聞いた時孝雄の兄が「ラッキー」と口にしていたり、彼が靴の道具に掛かるお金から専門学校の費用さえも全部自分で賄おうとしていたり、恐らく家庭を顧みないダメな母親だったんだろうなぁってことはなんとなく想像ができるんですよね。
なので、平日の昼間にビールと大量のチョコレート持って公園に居る女性って、おそらく母親に重なったんだと思うんですよ。
だから最初、学校は?って聞かれた時すごい嫌そうな顔して、すこし尖った声で会社は?って聞き返す。自分の母親と同じようにダメな大人に最初カテゴライズしたから。でもその後すぐ女性がまたサボっちゃった、って悲しそうに笑ったのを見て彼の表情が少し緩むんですよね、仲間を見つけたみたいな気分になったのかな。
そして靴職人になりたいって夢を応援してくれたのも、彼女が初めてだったのでは?と少し思ったりして。というのも、彼の味方に見えたお兄さんが「不格好だろ」「どうかな、10代の夢なんて」と案外靴職人という夢を否定はしないんだろうけど肯定もしていなくて。そしてきっと、彼の母親は彼の夢を支援するようなことはしないだろうし。
となると、彼のデザイン画をほめてくれたり高い靴の本を買ってくれたり、そういうことをしてくれた人は彼女が初めてだったのでは?と思って。聞こえが悪いかもしれないけど、金銭的に困ってる学生にとって間接的とはいえ金銭的に支援してくれるのってすごい大きいのでは?と思うんです。わかんないけど。


・教師と生徒

学校という檻の中に閉じ込められて狭いコミュニティの中で過ごしている学生にとって、頻繁に接する大人って両親と親戚と学校の先生くらいしかいないと思うんです。恐らく雪野さんに対して親近感を抱いていた孝雄くんにとって、彼女が先生だったということを知ってしまった途端、急に遠い存在に感じられたんじゃないかと思うんですよね。教師と生徒には大きな大きな境があって、それこそ休みの日は一緒に遊んでもらってる人と同い年でも、学校の先生って肩書きがついた途端すごく大人に見えるし絶対的に思える。
だからこそ、彼が好意を伝えた途端先生と生徒という現実を振りかざしてしっかり断らずに遠回しに恋愛対象じゃないのだということを伝えようとした彼女はずるいしひどいと思いました。大人すぐああいうことするー!!って。
そもそも、初日の時点で制服見た段階で生徒だって気づいてて、なのに身分を隠して今の関係を作ったんだから、突然私教師だからって振りかざすのはさぁ…卑怯じゃん…!!


・彼女は大人だったのか

自分が孝雄に年齢が近いからどうしても孝雄目線で書いてしまったけど、じゃあ散々大人だと書いてきた雪野さんは本当に大人だったのかという話。
「27歳の私は15歳の私より少しも賢くない」なんてセリフもあったけれど、精神年齢的にはあんまり変わらなかったのでは?と思っていたりします。
生徒からの嫌がらせや根も葉もない噂に傷ついてしまったり、それによって学校に行けなくなってしまったり、家庭のある男性の先輩教師に頼ったり。
ラスト、雪野さんが泣いたシーンなんて雪野さんが幼子のように見えて、なんなら孝雄の方が大人に見えました。あのシーンは、それまでずっとヒール履を履いていて、あのシーンの前もずっと階段の上から話していた雪野さんが、大人の振りをしていた雪野さんが、孝雄と同じラインに降りてきたっていうシーンなんだろうなぁと思うから余計に幼く見えるんだと思うけど。
ラストシーンは何回観てもどうしても泣いちゃうから、色々見落としてそうな気もするんですけどねぇ、見直してもどうせ泣いちゃうからもういい!(笑)


・番外編

これはちょっと映画自体とは離れる話なんですけど。
主題歌がめっちゃいいんですよね…。
大江千里さんのRainって楽曲を秦基博さんがカバーしてるんですけど、声の薄暗さと軽やかさの相反する要素を持ち合わせてる感じがすごく好きで。
あと歌詞がいい(真顔)
この作品に合わせて書き下ろされた楽曲じゃないはずなのにめちゃくちゃ作品とリンクしてるんですよね。ひとしきり泣いて涙落ち着いてきた時にやっと歌詞が耳に入ってきて、それでまた号泣しました。なんてことしてくれたんだ。
とっても素敵な曲なので是非聴いてみてください。

 

 

やっぱり長ったらしく書いてしまいましたが(苦笑)
冒頭に書いた通り、17歳の私が見た時に見え方がこんなに違ったんだから、多分27歳になって雪野さんに感情移入ができるようになったらまた見え方が変わってくるのかなぁと思います。そしたらもっと苦しいのかな。

人の課題だから(小声)ちゃんとせな!!って必要以上に目を皿にして見たんですけど、この作品すごい沢山伏線張ってあるんですね。びっくりしたしすごく楽しかったです。ただ、これ45分だったから出来たことであって、2時間は集中力続かないかなぁとも少し思っていたり。

新海作品はあんまり性に合わねぇなと勝手に思っていたので実は言の葉の庭以外見たことないんですが、ちょっと他の作品も見たいなぁと思ってしまいました。

天気の子?行く?梶裕貴さんも木村良平さんも出てるし?でもボーイミーツガールあんまり刺さったことないんだよなぁー!!言の葉の庭くらい影がないとなんか嫌!!(笑)


約45分しかないショートムービーだし、人も多くないから話もそこまで複雑じゃないので是非見てない人は見てください!!って名作だしみんなもう見てるのかな?

私はきっと10年後くらいにまた見ると思います。