信仰がなくては、悪意に勝つことは出来ない

アイドルと音楽と演劇が好きな人の闇鍋ブログ

メシアは君だ ~レミング、愛、オベリスク〜

一応言っておくけど推しを増やしたとかではないからな!
斉藤壮馬さんは本業は推してない!!
アーティスト活動と文筆業にはいくらでも金を払う気でいるが!!!
(数年前に加藤シゲアキさんにそれ言ってたよね)

という訳で、ひょんなことから斉藤壮馬さんの創作物にどハマりしまして。私ちょいちょいいるお前の頭から出てくるものが好きだー!!って人。
アルバムはレンタル屋さんに走ったし、エッセイ集も気付いたら手元にあった。何故。次は円盤かな。(やめなさい)

アルバム全曲考察とかエッセイ集感想文とかいくらでもやれるんだけど、そんなことをやろうとすると多分何にも手をつけないのがオチなので、とりあえずアルバムの中で最も好きだった1曲に焦点を当てて考察してみようかなと思います。楽しかったらもう少しやるかもしれん。


レミング、愛、オベリスク


斉藤壮馬さんの1stアルバム「quantum stranger」直訳すると量子的な迷子たちという意味らしく。どんな意味だ。ちなみにこの直訳はご本人談みたい。

私の感想としては、ライフワークとライスワークがはっきりしたアルバムだなぁということ。
ライフワークとライスワークっていうのは私が好きな某バンドマンがドキュメント番組で使ってた言葉なんですが。好きな曲だけ作っててもやっていけないみたいな話をしていて、なんとなくそれが重なった、勝手にだけど。

そしてこれも勝手にだけど、『レミング、愛、オベリスク』はライフワーク寄りの楽曲な気がして。壮馬くんこういう楽曲作るの好きなのかなぁって聴きながらニコニコしてました。

なんでそまくんちゃんとライナーノーツ書いてくれないの??話したいこと沢山あるべ??有料会員向けだろうが書籍化しようがなんでもいいので書いておくれ??と、毎年アルバムがリリースされる度に自分の締切を蹴っ飛ばしながら長々とライナーノーツを書いてくれる贅沢な推しを持つ私は思ってしまうのですが。毎年本当にありがとう。

色々漁ってたらTwitterでそれっぽいことをリリース時にやっていたらしく。

いや、楽しそうだなおい。
ほかの楽曲に対するツイートはもっと真面目だったりするから、楽しんで作った曲なんだろうなぁって解釈にしておきましょうかね。

メロディに対する考察はご本人が答えを出してくれているのでここではしません。正直そこに対してはあんまり知識がないから助かった()

アイドルらしくない、アーティストっぽい曲だなぁとは思う。ギターの音がかっこいい楽曲。それこそシングルリリースされたフィッシュストーリーやデートとはかけ離れたような。それが言いたくて私はライフワークって言葉を使ったんだけど。

彼を知った、そして好きになったきっかけにアイドル物のコンテンツをあげる人はかなり居るだろうし、彼にそういうことを求める人も一定数いると思う。彼のファーストライブの客席では当たり前のように色とりどりのペンライトが揺れていたし。
でも、この楽曲はペンライト振りたくないなぁと思ってしまうし、この曲を歌う彼をアイドルのように扱いたくない。というか基本的に彼のことあんまりアイドル認識してないからそもそもキンブレ振るの?マジで??くらいのテンションだったりはするんだけど。
ちなみにライブではこの楽曲でバンド紹介が入ったと聞いて私は歓喜しました。

ちょっと話逸れましたが。
この曲を歌うそまくんがかっこよくて、楽しそうで、ツイートからも何となくそんな感じがして。そういう曲ってこっちも楽しいよね。


そしてこの楽曲が纏う言葉の話。ここからは歌詞カードを片手に読んでもらうとわかりやすいかもしれません。
本人もなんだ?と仰るタイトル。
そのまま直訳していくと、レミングはタビネズミという北極にいるネズミ、オベリスク古代エジプトの神殿などに建てられた記念碑のこと。
さらにはぁ??って感じなので歌詞に行きます。

基本的には意味を気にしなければ耳馴染みのいい気持ちのいいリズムの言葉たちが並んでるんだけど、ちゃんと意味を理解しようとすると調べながらじゃないと全然理解できない。多分わざと言いたいことを比喩ってカタカナの言葉にして簡単に意味が通らないようにしてるから、直訳だけ並べてても混乱する。

耳馴染みがなく、また耳触りの大変いい言葉が並んでいるため何も考えずに聞き流してしまうとそんなに違和感はないんだけれど、この曲は

「最後のメシアはきみの前に現れない」

というとんでもない1文から始まる。
その後逆接なんだけれど、結局楽曲冒頭のブロックは何かを皮肉るような方向の言葉が並んでいる気がする。

そしてタイトルにもなっているレミングという単語が出てくるんですが、レミングは前述した通りネズミの名称なんだがレミングと調べると可愛い写真と生物学的な説明の記事の下には「集団自殺」や「死の行列」という言葉が踊る。
詳しく調べると、ディズニーが制作したとある映画の中でレミングが集団になって海に身を投げるシーンがあり、そんな奇妙なイメージが着いてしまったらしく、しかし少し調べれば直ぐにそれが迷信であることがあっさり出てくる。

ここまで調べると「レミングみたいに」という歌詞の後に「どぼんどぼん」という効果音が使われているのがやっとしっくり来るんですよね、海に身を投げる音なのかと。

Aメロ全体として虚像だと知りつつ現実から目を逸らし虚像を信じるみたいなニュアンスがあり、そんななにかを彼は皮肉っているようなふうに感じる。それが彼自身なのか聞き手へなのかは分かんないけど。
私の話ね、他の人がどう感じるかなんて知らんけど。

Bメロやサビまで見ると、Aメロより抽象的な言葉が多くなにを意味しているのか取りずらくはあるんだけどAメロで皮肉っていたのは彼自身なのでは?という気がしたりしなかったり。

そして2番。またぱっと意味のわからんカタカナが乱立しているので、ざっくり意味を書いておくと。

デウスエクスマキナは演劇の演出手法のひとつで、ものすごく雑な説明をすれば話がごちゃごちゃしてきた時に絶対的な存在を出すことで話を解決するみたいな感じ、らしい。日本風に言うと鶴の一声みたいな事なのかな。
悲劇によく使われた手法らしい。

そしてヘミングウェイは知ってる人の方が多い気もするけど、有名なアメリカの作家です。(雑)

うーん。1番より意味が取りにくくて困る。
とんだくだらない鶴の一声ってよく分からないし、ヘミングウェイみたいなの部分はさっぱりわからん。私の知識がないだけだったらどうしよう。

Bメロの方が意味がとりやすくて、「ほんと楽に逃げていたかったな」のあとに「悪魔の証明」って言葉が来るってことはつまり、それが本当に正解だったかなんて分からないけれど、みたいなことなんだと思う。
じゃあ、なんだよって話なんだよな。わからん。

サビは敗走、哀しき、愛想とマイナスイメージを纏った言葉が並んで、その後「飲み込まれて終わりそうだ」と来る。
でもその後「ハーイ ジョーク 感情濾過」とマイナスイメージを打ち消すような言葉が来る、よく分からん。

タイトルの『レミング、愛、オベリスク』をこの楽曲のキーワードだと仮定すると、愛の部分に私は全く触れていないんだが、愛に触れているように見える部分は全てサビであり、どの部分もなんだか他人事のようで、そしてとんでもなく抽象的になる。よく分からん。口癖か。


ざっくり歌詞に関して追いかけてみたけれど、点の意味を紐解いても上手くそれを線で繋げれず、ふわふわとした概念が耳触りよいリズムで整列させられてるような楽曲なんですよね。

ここで思い出したいのがご本人がしたツイート。
彼はこの楽曲を中二病ソングと評したんですよね。

…この楽曲、そんなに歌詞は深読みしなくていいのでは??

ここまでやって??って思われるかもしれませんが、そんなもんかもしれないなぁって(笑)

耳馴染みのないカタカナが並び瞬時には意味が取りにくい歌詞も、少し挑戦的なようにも聞こえるメロディも、中二病と評された瞬間やけにしっくりくるし同時に意味をなくしても問題なくなってしまう。

もしかしたら、この楽曲に彼が詰め込んだ思いがあるのかもしれないけれど、少なくともそれは私たちに伝えることを意図していないんだと思うんですよね。
実際、歌い出しもそうだし、ふんわりとしたイメージを持った「斉藤壮馬」がカッコつけたいがために選ぶ歌詞にしては少し刺激が強い気もするから、きっと何かテーマはあると思うんだけど。

恐らくこの楽曲の歌詞は意味を深読みするというところよりは、口に出してそして私たちの耳に入ってきた時に気持ちのいい言葉が並んでいるんだろうなぁと。
そこには確かに言葉があるのに、言葉を意識せず音として認識して楽しめるのも私は音楽の楽しみ方のひとつだと思うので。

でも、ただ意味もなく言葉が乱立しているだけじゃなくて、知っている言葉達のあいだによく分からない、でも耳馴染みのいい言葉が混ざっていて、どんな意味か分からなくてもいいなって思える。しかも、調べるとその言葉には色んな意味や背景があって。
なんて言ったらいいのかわからなくてとっても広義な在り来りな言葉になってしまうけれどとっても「オシャレでかっこいい」言葉たちなんですよね。


そして!この歌詞を!メロディを!斉藤壮馬さんご本人が考えているという事実〜!!!
ふわふわと笑う彼の頭の中からこんなにエッジの効いた言葉が!メロディが!!音楽が!!出てくるのかと思うと!!震える〜!!!

乱立するカタカナの言葉たちに私は中二病みを感じたけれど、そもそも耳馴染みのよい聞きなれないカタカナの言葉を韻を踏みながら意味を持たせて並べられてるだけで最早それは中二病と呼ばれるような薄っぺらい物じゃなく、裏付けのある大人のかっこよさだと思うんですよね。それを中二病だと評してしまう壮馬くんがかっこいい。好き。

そして、この楽曲がかっこよい要素のひとつに「斉藤壮馬」がこの楽曲を作り歌うことがあると思うんですよね〜!ずるい。


ここからは何の裏付けのない私の妄想ですが、この楽曲を聴いた時に感じたのはボカロっぽさだったんですよね。

もちろんメロディの質感とかは真逆と言っても過言ではないんだけれど、言葉の多さとか、言葉たちが醸し出すかっこいいのベクトルとか、サビの感じとかにすごくボカロっぽさを感じて。
私がここで言うボカロっぽさは世間的にwowakaさんが作ったとされる楽曲のかっこよさなんですけど。

エッセイとか読んでるとどうかなー?って気はしなくもないんだけど、アニメの最初のコメント出す度に原作が好きなので!って言ってる斉藤壮馬さんなら、少なくともボーカロイドも全盛期はある程度聴いたんじゃないかなぁと思うんですよね。影響を受けている、は言い過ぎな気がするし私の主観が入りすぎている気がするんだけど。


この楽曲は声優さんが好きな人とかキラキラしてる人が好きな人というよりは、音楽が好きな人に勧めたくなる曲だと思います。
音楽好きにはこの楽曲のかっこよさが伝わるはず!!みんな好きでしょこういう系統の曲〜!!!


私にとって斉藤壮馬さんはあくまで推しじゃないし、一緒に何かを追いかけて走る人ではないんだけれど。楽しそうに歌う彼を見ていると、彼が青春時代に夢見たその先を、形は違うかもしれないけれど一緒に見せてもらっているような気分になるんですよね、勝手に。

彼はこの間インタビューの中で「斉藤壮馬」であることへの息苦しさみたいなものをこぼしたことがあったけど、「斉藤壮馬」だからこそやれる事もあると思うし、何より私は自分が設定した「」と戦う人達が大好きなので、これからも彼が納得できる形で、素敵なものを作れるところにいてくれたらいいなぁと思います。

そのインタビューの中で彼は「斉藤壮馬」第2章の始まりを匂わせていたけれど、次リリースされる物語はどんな「斉藤壮馬」を見せてくれるのか、すっごく楽しみです。


楽曲の話からかなり逸れましたが。
みな斉藤壮馬さんの1stアルバム「quantum stranger」買ってね!!聴いてね!!そして彼が作ったたくさんの物語を感じて頭の中ぐしゃぐしゃにしてね!!!絶対楽しいから!!!!!

ライブ円盤の宣伝映像の中で『レミング、愛、オベリスク』が少し流れているので貼っておきます。カップリングになってしまうけれど映像冒頭の『C』もとっても好きです。

 

quantum stranger

quantum stranger

 

 


ちなみにタイトルにあんまり意味は無いです、語感。